“肉の芸術品” 松阪牛の正しい「表記」と「呼び方」

日本三大和牛のひとつに数えられる松阪牛は、見事なまでの霜降り肉であることから、「肉の芸術品」の異名さえ持つ、正に“King of Wagyu”です。

もう、その名前を見るだけで、聞いただけで、口の中でとろける脂のうま味や、甘い香りを想像してしまいそう・・・。

ですが、ここで皆さんに質問です。

「松阪牛」と「松坂牛」、正しい漢字の表記はどちらだと思いますか?

それからもうひとつ。

呼び方は、「まつざかぎゅう」「まつさかぎゅう」「まつざかうし」「まつさかうし」のどれが正解でしょうか?

日本国内はもちろん、世界的に有名なブランド和牛にも関わらず、実は色んな表記と呼び方がごちゃ混ぜになってしまっているんです。

今回は、松阪牛のちゃんとした表記と呼び方を、きちんとご紹介します!

※すでに漢字表記の答えは出ているようなものですが・・・

 

「松阪牛」か「松坂牛」問題の答え合わせ

産地の名前は松阪市、だからお肉も松阪牛

この答えは、とても簡単です。

松阪牛は、三重県松阪市とその近郊で飼育された和牛のこと。産地の名前が松阪市ですから、その場所で飼育されている黒毛牛も、そのお肉も、当然、「松阪牛」です。

インターネットで検索すると、「松坂牛」と表記しているWebサイトやブログも見つかりますが、これはすべて間違いです。

正式な漢字表記は、“こざとへん”の「松阪牛」と覚えておきましょう!

ちなみに、「松阪肉」と表記するのも間違いです。

松阪肉は、牛肉だけでなく、松阪市近郊で育てられている豚肉までを含んだ名前になってしまいます。

 

「松坂」の間違いが起こる原因は?

“松阪市の松阪牛”と覚えれば、実にシンプルなのに、どうして誤った「松坂牛」の表記が未だにたくさん見受けられるのでしょうか?

まず考えられるのは、パソコンの漢字予測変換。「まつざかぎゅう」「まつさかぎゅう」「まつざかうし」「まつさかうし」などを入力すると、「松阪牛」と「松坂牛」のどちらもが勝手に出てきてしまいます。これだと、分かっていてもミスを起こしたり、間違えて覚えてしまうきっかけになってしまいますよね。

 

明治時代に「松坂」から「松阪」へ

「松坂牛」はそもそも存在しない呼び名!?

こざとへんの「松阪市」の漢字が使われるようになったのは、明治22年(1889)の市制・町村制の施行がきっかけでした。

それまでの地名は、つちへんの「松坂」。要するに、よく間違って使われている漢字は、昔の地名なんです。

「松坂」と呼ばれた当時は、今のようなブランド和牛の一大産地ではありませんでしたから、そもそも「松坂牛」と呼ばれたことはないのです。

昔の呼び名として正しいのは「伊勢牛」。松阪市の誕生によって「松阪牛」の呼び名がはじめてできたのです。

 

松坂の“坂”の由来は、天下の大坂城だった

三重県松阪市の歴史を振り返ると、天下の台所「大阪」との深いつながりがみえてきます。

現在の松阪市一帯の地名が「松坂」と名付けられたのは、戦国時代の天正12年(1584)にさかのぼります。

豊臣秀吉の命により、この地に新しい城を築くことになった蒲生氏郷が、蒲生家に受け継がれる吉祥の文字「松」と、秀吉の居城である大坂城の「坂」を組み合わせ、「松坂城」と命名しました。

 

“坂”から“阪”で思い出す都市「大阪」

考えてみれば、その大坂も、松坂と同じく、漢字が“坂”から“阪”に変わった地名です。

「大坂」が「大阪」になったのは、松阪市より少し早めの明治元年(1868)明治新政府による廃藩置県で「大阪府」が誕生したときでした。

「阪」を使おうと決めた理由は、実に大阪人らしく、「坂の字は縁起が悪いから」だったそうです。

「坂」は、“土に返る=死ぬ”という意味にとれると言いだす狂言作家がでてきたり、明治政府に対して“士(さむらい)が謀反をおこす”と読めると言われたり・・・。とにかく地名に相応しくない!となったのです。

そこで、せっかくの新時代なんだから、縁起のいいほうの「阪」でいきましょう!と決定しました。

 

松阪牛の呼び方は、まったく濁りません

「まつさかぎゅう」「まつさかうし」が正解

高級ブランド和牛の「松阪牛」も、その生産地である「松阪市」も、地名の読み方は「まつさか」です。

“さ”の音が濁った「まつざか」は誤りで、「まつざかぎゅう」や「まつざかうし」と呼んではいけません。

ちなみに、松阪牛の呼び方は2通りあり、どちらも商標登録されています。

「まつさかぎゅう」と「まつさかうし」

このどちらを使っても構いませんが、生産地の松阪市とその近郊では、「まつさかうし」が一般的に使用されています。

一説に、生きている牛が「まつさかうし」、食肉加工された牛肉が「まつさかぎゅう」と区別するとも言われていますが、これもまた間違いです。俗説に惑わされてはいけませんよ!

 

松阪牛が味わえる高級弁当をお届け

松阪牛はデリシャステイクの人気メニュー

甘さを感じる上品な「香り」、ヘルシーでしつこさのない「脂肪」、あっという間に溶けてしまう「食感」の3拍子が揃った松阪牛は、世代を超えて愛される高級食材です。

松阪と縁の深い大阪に本社を構え、法人向け宅配弁当を製造・販売するデリシャステイクでは、松阪牛を使ったお弁当を多数ご用意しています!

ご希望の方は、『松阪御苑(まつさかぎょえん)』または『松阪御苑別邸 松阪カレー』のページをご覧ください。

どれも人気の高いメニュー、自信を持ってお届けできる商品です。

 

最後におさらい

それでは、もう一度、松阪牛の正しい表記と呼び方をおさらいしましょう!

正しい漢字表記は「松阪牛」

正しい呼び方は「まつさかぎゅう」と「まつさかうし」

これで、もう、間違うことはありませんね。

 

最後の最後に余談ですが、

“肉の芸術品”ではなく、“平成の怪物”の異名を持つ国民的プロ野球選手がいます。

名前は、松坂大輔投手

苗字の漢字は「松坂」で、読み方は「まつざか」です。

お気づきでしょうか?

今回ご紹介した「松阪牛」の誤った漢字表記と呼び方にピタリと当てはまるのです。

松阪牛の正しい表記と呼び方が、なかなか浸透しない理由のひとつに、松坂投手のとてつもない存在感が影響を与えてるのかも。と、思ったり、思わなかったり。